研究課題/領域番号 |
11440086
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
小林 隆 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (70291317)
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研究分担者 |
長谷川 琢哉 東北大学, 大学院・理学研究所, 助手 (40261549)
椎野 二男 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (20092231)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | ニュートリノ / 質量 / 電子 / イメージング / イメージインテンシファイア / CCD / ニュートリノ振動 |
研究概要 |
本研究では、まず、現在進行中のKEK-神岡間長基線ニュートリノ振動実験K2Kで、KEK内の前置検器の鉛ガラス電磁カロリメータを用いて電子ニュートリノ反応の検出、測定を試みた。K2K実験では電子ニュートリノは、主成分であるμニュートリノの約1%しかない。この研究で、電子ニュートリノ反応抽出の技法の開発を行ったとともに、既存のタイプの鉛ガラス検出器での高感度電子ニュートリノ反応検出の限界を示した。 将来の高感度撮像型電子ニュートリノ検出器の候補としては、鉛ガラスからのチェレンコフ光を鏡で集光しチェレンコフリングを撮像するタイプと、シンチレータからの光をレンズで集光し粒子の軌跡を撮像するというタイプが考えられる。これらは発光原理はチェレンコフ光とシンチレーション光の違いはあるが、それ以外の、光を集め、高感度イメージ検出器で撮像するという点など共通する部分が多い。そこで本研究では将来の高感度電子ニュートリノ検出器を開発するという目的のもとに、両タイプの検出器の可能性を念頭に置きながら開発を進めた。後者のシンチレータとレンズを用いた検出器は(1)粒子の奇跡を3次元で捕らえられるので方向の測定精度が高い。(2)光量が多いため粒子のエネルギー測定分解能が高い。という利点がある。 初年度にはシミュレーションを用いて検出器の概念設計を行った。そして上のような利点から、まずはプロトタイプ検出器としてシンチレーション光撮像型検出器を製作することとした。次年度NaIシンチレータブロックとレンズ、イメージインテンシファイア、CCDカメラを購入し、プロトタイプ検出器を製作し、基礎的なテストを行った。さらに13年度には、京都大学と共同でこのプロトタイプ検出器を用いて宇宙線測定、ビーム入射試験を行った。宇宙線測定ではブロック内で止まったμ粒子からの崩壊電子の検出に成功した。現在、より定量的な性能評価のための解析を行っている。 将来の大強度陽子加速器を用いたニュートリノ振動実験の前置検出器として実用化するためには、検出器の大型化が必要である。十分な反応数を得るためには、反応標的である発光体の質量最低約1トン必要である。本研究の次なるステップは大型化の可能性の追求である。そのためには、プロトタイプを用いて得られた基礎データをもとにして検出器シミュレーションを開発し、検討を進めて行くことが必要である。
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