半導体再構成構造における表面局所電場の評価

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11440100
• 研究機関: 理化学研究所
• 研究代表者: 鈴木 隆則 理化学研究所, 表面界面工学研究室, 副主任研究員 (60124369)
• キーワード: 半導体表面 / シリコン / 表面SHG法 / 表面電場 / 表面電荷層 / レーザー / キャリアー励起 / 局所場

研究概要

前年度までに明らかにしたように、青色レーザー光でシリコン表面を励起するとプローブ光(赤外光、1200nm)の表面SHG信号に変化が観測される。今回、ポンプ光吸収に伴う温度変化のシミュレーションを行ったところ、ポンプ光吸収に伴う表面の温度変化に対応するSHG変化を無視できないことが結論された。温度が平衡状態に達するのは数ピコ秒程度なので、現有レーザーのパルス幅(10ns)ではキャリアー励起に関する情報と温度変化に対応するSHG変化の両者を見ることになるので、それらを考慮したモデルで解析する必要がある。このため、そのようなモデルの検討を行うとともに、時間依存性を実験的に確認するモードロックレーザー(パルス幅2ps)による実験も行った。このレーザーでは、これまでのところ十分な信号強度が得られなく、収差を取り除いた集光系の制作とレーザー出力向上のための増幅系の整備、等改良に取りかかっている。
また、10nsのレーザーによる局所電場の観測では、微小構造を持つ表面形状によるSHG強度増加として評価することとし、以下の実験を手がけた。なお、そのような系では局所磁場の評価も重要になるとの観点から、局所スピンの計測も行った。
表面の一つは、プラズマCVDで作成したシリコン微粒子からなる薄いフィルムである。推定10nmの最小粒径まで、粒怪が小さくなる程急激にSHG強度が増大した。これは、微小球の局所電場を考慮することで定性的に説明ができた。ミクロスコピックなモデルを検討している。
また、もう一つの微小構造表面としては、室温にてシリコン表面(Si(111)-7x7)に銀を蒸着した裏面を調べた。蒸着とともにSHGはゼロになるまで減少するのであるが、さらに蒸着を続けると今度は元の数倍にまで増大した。これは表面に堆積した銀微粒子の局所電場(表面プラズモン共鳴)で説明できた。粒径依存性を見るために蒸発条件を変化させてさらに実験を進めている。

研究成果

• [文献書誌] T.Suzuki, V.Venkataramanan, M.Aono: "Magnetic-field-induced second-harmonic generation on Si(111)-7x7"Jpn. J. Appl. Phys. 40. L1119-L1122 (2001)
• [文献書誌] T.Suzuki, V.Venkataramanan, M.Aono: "Paramagnetism of Si(111)-7x7"Riken Review. 37. 9-12 (2001)
• [文献書誌] D.E.Milovzorov, A.M.Ali, T.Inokuma, Y.Kurata, T.Suzuki, S.Hasegawa Kurata, T.Suzuki: "Optical properties of silicon nanocrystallites in polycrystalline silicon films prepared at low temperature by plasma-enhanced chemical vapor deposition"Thin Solid Films. 382. 47-55 (2001)
• [文献書誌] R.Venkataraghavan, M.Aono, T.Suzuki: "Studies on the nucleation, dynamics and structure of the Si(111)-√<3>x√<3>-Ag surface using surface second-harmonic generation"Surf. Sci.. (to be published). (2002)