研究概要 |
2年間の研究で得られた結果を列記する。 1)(Al,Zn)49Mg32-type相の構造を、Mg40Al60-xZnx(x=14-51)の合金の単結晶X線回折から研究し、Zn濃度変化における正確な占有率を決定した。また、従来提出されていた構造とは異なり正20面体対称のバーグマンクラスターの中心には原子が存在しないことを明らかにした。 2)(Al,Zn)-Mg系合金に見いだされた2/1立方晶近似結晶の単結晶の製作に成功し、そのx線回折実験より、バーグマンクラスタの複雑な配列を明らかにした。 3)1/0の整数比の近似結晶Al66.8Pd21.2Ru12.0(Fms;a=1.56058 nm),Al63.6Pd30.2Fe6.2(Fms;a=1.55187nm),Al68.9Pd17.1Fe13.9(Im3;a=1.53755 nm)の3種類の構造を単結晶X線回折から決定した。1/4,1/4,1/4位置に中心にAlの正20面体配列とその周りを原子の規則配列をとる正5角形配列のクラスターが存在している。それらが辺を共有して単純立方配列をとっていることを見いだした。 4)Al57.3Cu31.4Ru11.3 1/1近似結晶を単結晶X線回折実験より決定した。Pm3,a=1.23773の立方晶で、切頭12面体原子クラスターが8面体を介して体心立方的に配列していることを明らかにした。 5)1/0,1/1,2/1整数比の近似結晶は、正20面体対称の原子クラスターの配列から見ると、クラスターの単純立方配列と体心立方配列に大別されることがわかった。また、クラスター内部の原子配列に関しては、基本の正20面体クラスターの上にに4面体および8面体的に配列する2つに区別されることが明らかになった。
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