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1999 年度 実績報告書

軌道整列・スピン一重項系BaVS_3の金属絶縁体転移機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 11440107
研究種目

基盤研究(B)

研究機関京都大学

研究代表者

志賀 正幸  京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30026025)

研究分担者 中村 裕之  京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00202218)
和田 裕文  京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80191831)
キーワードフラストレーション / 三角格子 / 硫化物 / 金属絶縁体転移 / スピン液体 / 中性子散乱
研究概要

S=1/2三角格子硫化物BaVS_3は70Kで金属絶縁体転移を示す。ここでは主に中性散乱実験から新たに明らかになったことをまとめる。BaVS_3に関しては既にいくつかの中性子回折の実験が行われており、それによれば低温で磁気Braggピークは観測されないとされていた。我々は主にその結果とNMRの結果を基に基底状態はスピン一重項状態であると提唱した。ところが、波長がおよそ4Åの冷中性子を用いて回折実験を行ったところ、新たに磁気Braggピークを見出した。解析によれば、その変調ベクトルは六方晶の指数で(0.226 0.226 0)、すなわちincommensurateである。最低温度の磁気モーメントは大ざっぱに見積もって0.5μ_B/V程度である。温度を上昇させると、磁気ピークは金属絶縁体転移温度とは異なる30Kで消失する。その温度はNMR等で異常が観測される温度と一致する。30Kと70Kの間では、ほぼBraggピークのQに対応する位置に低エネルギーの非弾性散乱が観測される。すなわち、比較的長距離の相関を持つ低エネルギーの揺らぎが存在する。ギャップは1meV程度と見積もられる。これはスピン液体的振る舞いであり、フラストレーションに起因する特異な現象と考えられる。一方、BaVS_3の針状単結晶をテルルフラックス法で作製し、結晶成長の最良条件を探索している。また最良のフラックス分離法の検討を行っている。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 中村裕之: "Orbital Ordering in BaVS_3"Physica B. 259-261. 965-966 (1999)

  • [文献書誌] 中村裕之: "Neutron Scattering Study of BaVS3: Orbital-Ordered Spin-Singlet System"J. Phys. Chem. Solid. 60. 1137-1140 (1999)

  • [文献書誌] 中村裕之: "Muon Spin Relaxation in Orbital-Ordered BaVS_3"Hyperfine Interactions. 120/121. 633-647 (1999)

  • [文献書誌] 中村裕之: "Exotic Quantum States Induced by Frustration"Proc. Moscow Intern. Sym on Magnetism MISM'99. 22-36 (1999)

  • [文献書誌] 志賀正幸: "Magnetism of Frustrated Metallic Compounds BaVS_3"RIKEN Review (to be published). No.27. (2000)

  • [文献書誌] 志賀正幸: "Magnetism of Geometrically Frustrated Metallic Compounds"Suppl. J. Phys. Soc. Japan. (to be published). (2000)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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