六方晶構造を持つCe_xLa_<1-x>Pd_2Al_3(x=0〜1.0)における非フェルミ液体状態を調べるために電気抵抗を0.4K〜300K、比熱を0.5K〜100Kの範囲で測定した。また磁場中比熱を1〜5Tの磁場をかけ0.5K〜4.2Kの範囲で測定した。その結果以下の事を明らかにした。 1.Ce_xLa_<1-x>Pd_2Al_3で反強磁性転移が消失した、0.05【less than or equal】x【less than or equal】0.7の広いCe濃度範囲で、磁気比熱C_m/Tが-lnTに従う非フェルミ液体的振舞いをする事を明らかにした。 2.Ce_xLa_<1-x>Pd_2Al_3(x【less than or equal】0.15)のCe低濃度領域では、C_m/Tの非フェルミ液体的振舞いは磁場中で抑えられ、フェルミ液体状態が回復する事が分かった。これらの試料について2チャンネル近藤効果が起きている可能性を調査したが、磁場中での磁気エントロピーの測定結果と理論との比較等からその可能性は否定された。 3.C_m/Tの非フェルミ液体的挙動が、0.3【less than or equal】x【less than or equal】0.7の広い範囲で濃度依存しない等の特徴を明らかにした。これらの結果がこれまで他の物質で観測されてきた非フェルミ液体状態の特徴とは異なる、また、SCR理論等非フェルミ液体状態に適用されてきたどんな理論にも当てはまらない新しい現象である事を明らかにした。 その他、3d遷移金属合金として初めて高濃度近藤効果を示す物質として注目されていたFe_2VAlについて、この物質の比熱のエンハンスメントが試料中の磁気クラスターによるもので、近藤効果によるものではない事を明らかにした。
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