研究課題/領域番号 |
11440111
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高畠 敏郎 広島大学, 大学院・先端物資科学研究科, 教授 (40171540)
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研究分担者 |
伊賀 文俊 広島大学, 大学院・先端物資科学研究科, 助教授 (60192473)
梅尾 和則 広島大学, 大学院・先端物資科学研究科, 助手 (10223596)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | 圧力 / 量子臨界現象 / 重い電子系 / スピン揺らぎ / 反強磁性 / 単結晶 / 一軸圧力 / 結晶場 |
研究概要 |
圧力下での重い電子系の量子臨界現象を明らかにするために、磁気臨界点近傍にある化合物の良質な単結晶を育成し、圧力及び磁場下での物性測定から以下の新しい知見を得た。 1.六方晶の重い電子系Ce_7Ni_3:Ce_7Ni_3はT_<N1>=1.8KとT_<N2>=0.7Kで2段の磁気転移を起こす。磁化容易軸のc軸方向に磁場を印加すると、0.3Tで反強磁性は消失するが、0.6T以上で新たな磁気秩序相が発生する。二つの相境界の間の0.3-0.6TではC/Tが-1nTに比例するという非フェルミ液体的挙動を示す。この様な磁場誘起の秩序相の出現は、擬4面体構造をとるCe磁気モーメントの幾何学的フラストレーションに起因する可能性が高い。 2.CeNiSnの一軸圧誘起磁気転移:CeNiSnは擬ギャップを持つ常磁性半金属である。斜方晶構造のc軸方向に一軸圧をかけると、0.13GPaで反強磁性秩序が3K付近に出現した。一方、a軸方向に圧力をかけると、キャリア密度が増加することが判った。P//cでの電気抵抗の結果から見積もった結晶場基底状態の近藤温度が圧力に対して減少することから、結晶場基底状態の4f波動関数と伝導電子状態との混成がab面内で弱まることがP//cでの磁気秩序形成に起因していると推論される。 3.Ce_2Ph_3Ge_5の圧力下における非フェルミ液体的挙動:T_N=4.9Kで反強磁性秩序を示す斜方晶のCe_2Ph_3Ge_5の反強磁性秩序の消える臨界圧力はPc=0.45GPaと見積もられた。P>3Pcでも、電気抵抗と磁化率はそれぞれρ∝T^<1.45>,x∝(1-T^<0.27>)という非フェルミ液体的挙動を維持した。Pc以上においてもCe_2Ph_3Ge_5の磁化はあまり減少しないので、生き残っている局在スピンの短距離秩序が非フェルミ液体的挙動の原因であろうと考えられる。
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