研究課題/領域番号 |
11440116
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
宮島 英紀 慶応義塾大学, 理工学部, 教授 (70166180)
|
研究分担者 |
小野 輝男 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 講師 (90296749)
白濱 圭也 慶応義塾大学, 理工学部, 助教授 (70251486)
|
キーワード | ナノ磁性体 / 量子伝導 / トンネル効果 / 弱局在 / 磁性細線 / ナノワイヤー / 量子コンダクタンス / 磁壁移動 |
研究概要 |
電子線リソグラフィーを用いたリフトオフ法により線幅が20nm、内径460nm、外径500nmのパーマロイナノリングを作製した。このナノリングの電流磁気効果を調べ、リング内の磁化分布を決定した。4K以下の低温で電気抵抗は温度の対数に比例した依存性を示したが、これは電子間相互作用が起因となっていることを明らかにした。さらに、温度を下げて数十 mKの温度領域になると磁気抵抗が磁場と共に振動した。これは量子伝導の一つであるAharonov-Bohm効果が現れたものと考え、UCF(Universal Conductance Fluctuation)や「多々良・福山の推測」と関連させて調べた。このように強磁性体特有の量子伝導現象発見の糸口を明らかにできたことは意義が深い。 従来、磁化の巨視的トンネル効果を見るには磁化を測定するしかなかった。このためナノ磁性体のように微量な系では精密測定が難しい。本研究では磁化測定よりも高感度に磁化変化が測定できるを電流磁気効果を用いる試料系を考案した。すなわち、SiO_2絶縁層を介してハード層(高保磁力磁性体)とソフト層(高透磁率磁性体)を結合させた複合膜を作製した。この絶縁層には直径が0.1mmから100mmの単一孔があいており、2種の磁性体はこの孔を通して磁気的に結合しているが、この孔は磁壁幅より小さいときは磁壁移動の障壁になっている。このような複合構造膜の磁化反転と電流磁気効果の関係を調べ、巨視的トンネル効果測定の予備実験を行った。次年度に本格的に測定を行う。
|