本年度は、^<70>Geのみから構成される高純度単結晶を成長し、それらに熱中性子を照射することから一連のp型^<70>Ge:Gaを作製した。本手法は申請者らが開発した超高精度ドーピング法で、極めて均一な不純物分布と、転移点近傍で0.01%の高精度で制御された不純物濃度が同時に得られる。完成した一連の試料には最大磁場9Tが印加され、温度領域0.02〜1Kの範囲で電気伝導度が測定された。得られたデータは、様々な転移の理論と比較検討され、定量性を重視しながら詳細に解析された。その結果、これまで「臨界指数の謎」として知られてきた問題に対する解釈を、厳密に測定された実験データに基づき提示した。今後は、ドーピング補償が及ぼす影響について考察し、半導体中の金属-絶縁体転移に関して統合的に解析していく。
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