超高真空チェンバーの設計と製作を行った。内部に収める電子銃等の試作をし、組み立て調整を行った。衝突による偏光の効果をキャンセルして、断面積の絶対値に比例した値を直接測定できるように、2重魔法の角度に電子銃を設定して調整を行い、予備的測定を開始した。 平成11年度は、可視域および真空紫外域の測定において、当初の実行計画に比べて、予想を上回って成果が上がったように思われる。しかしながら、検出系のS/Nに尚問題があり、次年度の補助金で改善し、必要物品を充填する予定である。特に真空紫外域の共鳴線は自己吸収が激しく、シグナル強度が弱いため更に工夫を要する。 Ne、Ar、Kr原子のnp→ns遷移(Ne:n=3、Ar:n=4、Kr:n=5)に対する発光断面積の絶対値を精度良く系統的に決定できた。従来の報告結果と比べると、絶対値やエネルギー体存性において、かなり異なる様相を示していることが判明した。励起関数についても、しきい値から1000eV間での範囲にわたり測定した。得られた結果を「電子および原子衝突の物理学に関する国際会議」(仙台)にて発表した。また、「第10回原子衝突における偏極と相関」(北京)に招聘されて講演を行った。
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