研究概要 |
本研究は,21世紀にボーズ凝縮原子を工業的に利用する可能性について知見を得ることを目的に,ポーズ凝縮原子と非共鳴光場の相互作用を調べる。すなわち,ナトリウム原子のボーズ凝縮を行い,ポーズ凝縮原子を閉じ込め磁場ポテンシャルから抽出し,非共鳴光の定在波場,エバネッセント場などのポテンシャル中での挙動について調べ、そして,これら双極子力によるポーズ凝縮原子の反射,偏向などの操作技術や原子波共振器の可能性を探ることを目的に平成11年度から開始され、以下の成果を得た。 1.磁気トラップ用四重局磁場と定磁場からなる四葉型磁場を設計・試作し、また、レーザー光導入用ガラスセルを作製し真空装置に配置し、また必要な光と磁場のタイミング系を準備した。 2.ナトリウム原子に時間的ダークMOTと周波数離調による偏光勾配冷却を行い、磁気トラップに移行しBECを達成するのに十分な位相空間密度3×10^<-5>が得られた。この原子集団をモードマッチングを考慮し磁気トラップに高効率で移行できた。これにより蒸発冷却を行うことでナトリウム原子のボーズアインシュタイン凝縮を達成する見込みが得られた。しかしながら、装置の真空度が5×10^9と悪く、磁気トラップの寿命が0.35秒と短かかった。現在真空装置の改良を進めており、その後、蒸発冷却を行う予定である。 3.現在のところボーズアインシュタイン凝縮した原子集団が作成できなかったので、偏光勾配冷却した原子に非共鳴光を照射し、超低温集団と非共鳴ラマン散乱について調べた。これを用いてコヒーレントな分割を行ない、原子干渉計を作成した。この干渉計を用いて磁気モーメントを持つ中性粒子がパルス磁場ポテンシャル中で受けるスカラーハラノフ・ボーム効果の検証実験を行うことに成功した。
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