研究課題/領域番号 |
11440128
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長谷川 昭 東北大学, 理学研究科, 教授 (40004460)
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研究分担者 |
岡田 知己 東北大学, 理学研究科, 助手 (30281968)
松澤 暢 東北大学, 理学研究科, 助教授 (20190449)
海野 徳仁 東北大学, 理学研究科, 助教授 (30004477)
趙 大鵬 愛媛大学, 理学部, 助教授 (70304665)
松本 聡 秋田大学, 工学資源学部, 講師 (40221593)
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キーワード | 活断層 / 地震波トモグラフィ / ブライトスポット / 内陸地震 / 地震波散乱体 / 地殻構造 / 地殻流体 / 温度分布 |
研究概要 |
秋田県・岩手県・宮城県にかけての脊梁山地を中心とする地域に臨時地震観測点を設置し、定常観測網の観測点と合わせて稠密地震観測網を構築した。今後、臨時観測を継続することにより、本研究計画の解析に必要な量のデータの蓄積が可能となると期待される。今年度はまず、この稠密観測網で得られた浅発地震の波形データの系統的な調査を開始した。地震のクラスターを検出し、各クラスターの地震波形を振幅を規格化して並べることにより、直達S波の後に反射S波と考えられる顕著な後続波が、多数の波形データ中に検出できた。各クラスター内の地震の相対的な震源位置を均質観測点法で高精度に決定し、かつ反射S波の走時を読み取り、鏡像反射点法を用いて、ブライトスポット(S波反射面)の空間分布を推定することができた。その結果、その東縁と西縁を活断層で境される脊梁山地の下の地殻中深部に多数のブライトスポットが分布していることが明らかになった。深さ分布をみると、地殻最上部の地震発生域の真下に多く分布し、かつ、それらは活火山直下では局所的にやや浅く、非火山地域ではより深いところに分布していることが分かった。ブライトスポット(S波反射面)は、その反射係数が極めて大きいことから、流体で満たされた層をみていると考えられる。従って、面に沿ってせんだん応力を保持できない、あるいはせんだん強度が極めて小さいことが期待される。東縁と西縁を活断層で堺される脊梁山地の下の地殻中深部に、このような性質を示す多数のブライトスポット(S波反射面)が分布していることは、何故脊梁山地で地殻変形が卓越し微小地震が多数発生するか、さらには、その東縁と西縁に活断層が何故発達するのかを理解する上で、重要な拘束条件を与えるものである。
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