研究分担者 |
岡田 知己 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30281968)
松澤 暢 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20190449)
海野 徳仁 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30004477)
趙 大鵬 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 助教授 (70304665)
松本 聡 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (40221593)
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研究概要 |
1.宮城・岩手・秋田県にかけての脊梁山地およびその周辺域で,稠密地震観測を引き続き実施しデータの蓄積をはかった。 2.前年度に行った鳥取県西部地震(M7.3)の余震観測により得られたデータを用いて,地震波散乱体及び反射面のイメージングを行った。その結果,余震域の北半分(本震の北側)の地殻に強い構造の不均質が存在することがわかった。余震域の北半分は,南半分に比較して余震が複雑に分布しており,本震による破壊面の複雑なジオメトリを示唆する。検出された強い不均質性はこれを反映している可能性がある。さらに,深さ約30kmからの顕著な反射波を見出した。反射面はモホ面に対応すると思われるが,そのように強い反射波を励起する場所は,本震の震源(破壊の開始点)直下で低周波微小地震が発生している地点に位置することが分かった。このことは,地殻流体の存在を強くうかがわせる。 3.長町-利府断層,栗駒山,田沢湖付近の地殻中深部に見出した地震波反射体(プライトスポット)の内部構造を,反射S波と直達S波のスペクトル比,反射P波と直達P波のスペクトル比から推定した。その結果,反射体は100m程度の厚さをもち,内部は水で満たされたクラックで形成されていることが推定された。 4.稠密地震観測網のデータを用いて行った地震波速度トモグラフィの結果,上記の地震波反射体(ブライトスポット)は,下部地殻に分布する低Vp,低Vs・高Vp/Vsの異常域の直上に分布することがわかった。この異常域は部分溶融域に対応すると推定されることから,ブライトスポットは,もともとメルトに大量に含まれていると推定される水が部分溶融域から供給されて形成されたものと推定された。
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