研究分担者 |
塩原 匡貴 国立極地研究所, 助教授 (60291887)
山内 恭 国立極地研究所, 教授 (00141995)
岩崎 俊樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80302074)
遊馬 芳雄 北海道大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10183732)
高村 民雄 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 教授 (40272356)
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研究概要 |
本研究では、雲微物理量に関する衛星観測の結果を定量的に評価するために、地上観測の実施および既存の航空機観測データによる検証や、異なる衛星データ間による相互比較を行なった。特に、雲の光学的厚さと雲粒有効半径の衛星リモートセンシング解析について、航空機観測データとの比較や計算機シミュレーションで作成した不均質雲とモンテカルロ法を用いた放射計算によって精度の評価を行うとともに、GCMへの応用の可能性について検討を加えた。 その結果,比較的一様な下層雲については、NOAA/AVHRRデータを用いた衛星観測から得られる雲の光学的厚さと雲粒有効半径の値は航空機観測の結果と概ね一致することがわかった。しかしながら、雲の不均質性が大きい場合には、衛星観測の解析精度が悪くなる。太陽と衛星の位置関係が前方散乱のときには不均質雲の光学的厚さは過小評価となり、一方、後方散乱のときには過大評価となる。また、多少不均質性が大きくても衛星直下の雲を観測する場合には誤差が小さくなる。太陽高度が高いときには、不均質雲内における放射のsmoothing効果が大きく、太陽高度が低い場合にはroughening効果が大きくなることが、シミュレーションおよび実際の衛星データ解析から示された。 異なる衛星データの比較や航空機観測との比較検証においては,多少時空間のずれや空間分解能の違いがある場合でも,比較する物理量(雲水量や有効半径)の統計値(頻度分布)を用いることにより,十分な精度で比較検証が可能であることが示唆された。すなわち,一般に空間的あるいは時間的に十分大きなサイズのデータを対象にした場合,雲水量(あるいは光学的厚さ)は対数正規分布で表現できる。この手法は,GCMにおける計算値と衛星データを比較する場合にも有効であると考えられる。
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