研究課題/領域番号 |
11440139
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中村 健治 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 教授 (20262917)
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研究分担者 |
玉川 一郎 岐阜大学, 工学部, 助教授 (40273198)
児玉 安正 弘前大学, 理工学部, 助教授 (30205421)
坪木 和久 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助教授 (90222140)
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キーワード | 衛星観測 / 降雨 / 非断熱加熱 / 日周変化 / 鉛直構造 / 降雨レーダ |
研究概要 |
1997年11月に打上げられた熱帯降雨観測衛星(TRMM:Tropical Rainfall Measuring Mission)搭載の降雨レーダにより降雨の鉛直構造について解析を行った。 まず降雨頂の分布を見てみたところ、海上では降雨頂が高度が2-3kmの低いところと5km程度の高いところの2個所に現れることが分かった。これは熱帯域の海上では大気境界層に制限された浅い降雨の影響と解釈される。このことを踏まえてアジア・西太平洋域の降雨の実態を調べるために、瞬時値データセットから緯度10度経度30度のグリッド域の1ヶ月毎のデータセットを1998年5-10月について作成した。このデータセットの解析から、インドのガーツ山脈西側、バングラデシュ、ミャンマー西海岸での降雨の集中、ヒマラヤ山脈により北限を線状に区切られた降雨域、インドの北東端で南以外を山脈に囲まれた袋小路のところ、またスマトラ島西側の降雨の集中など、地形の影響が明瞭に捉えられた。 また6時間毎の地方時でデータを分割することにより、降雨の日周も明らかとなった。この日周変化は、陸地側で午後に降雨が見られるが、特にベトナム東側、インド東側、インドシナ半島などで、海岸線で非常にくっきりと現れている。また明け方は海上で降雨が多くなる傾向が確認された。 さらに経緯度5度の領域に分けて月平均した降雨プロファイルのデータセットを作成した。このデータセットから、降雨構造は地形に関連した降雨頂分布に対応しており、低い高度で降雨量が増加する、また逆に減少するものとに分かれた。これは浅い降雨の多寡によっていると思われる。この特徴は対流性降雨でより顕著であった。低い高度で降雨量が増加する傾向は熱帯陸上で顕著であり、逆は海上で顕著であった。
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