研究概要 |
チェンマイTMDレーダーを中心に,1998-2000年の南西モンスーン期のレーダーエコー強度を解析し,その特徴を調査した。そのため,まず,全てのデータを,レーダーサイトからの距離と内挿される格子間隔によって決められる解像度を持つような内挿式を用いて,基の球座標データを直交座標へ内挿した。この直交座標に内挿されたデータを用いて解析を行った結果,下層のエコー全面積はどの年も南西モンスーン期間を通じて顕著な日変化を示していることがわかった。この日変化は,お昼前に急速に面積を増大し,15-16時に最大を迎え,夜から翌日の朝にかけて緩やかに減少するというものである。さらに,一塊りのエコーを認識する手法を開発して一つ一つのエコーに対する平均面積を計算すると,20時頃最大になることがわかった。これは,最初は散発的なエコーが増え,午後遅くからは広がりを持った数少ないエコーの面積が増大するためである。個々のエコーの特徴を見てみると,5-7月はほとんど毎日,エコーは東へ移動していること,その約半分の日数では線上エコーが観察できた。これは数値実験結果から提案された降水日変化メカニズムの仮説と整合的である。さらに,2000年に観測されたチェンマイレーダーのエコー面積が少ないこともわかった。TRMM/PRを使って各年のエコー強度分布のヒストグラムを作って地上レーダーとTRMM/PRとの比較を行った結果,2000年にはチェンマイレーダーの感度が98,99年に比べて約4DBZ落ちていることもわかった。これらの結果は,国内及び国際研究集会で発表した。
|