研究概要 |
GPS掩蔽法による大気重力波のグローバル分布解析 昨年度は、GPS掩蔽観測データを再処理し、中層大気における重力波のエネルギーを全球的に求めたが、今年度は、中層大気の重力波エネルギーと、GPSによる電子密度観測から調べられる電離層のスポラディックE層との対応を調べた。その結果、両者に良い相関があることを見出した。赤道域では中層大気の重力波は対流圏の積雲活動と密接に結びついているので、この結果は、積雲活動の盛んな領域にスポラディックE層が発生しやすいことを意味する。さらに、アンデスに伴う大規模な山岳波の存在を示し、この山岳波もスポラディックE層を引き起こすことがわかった[Hocke et al.,2001,2002ab(投稿中)]。 ライダー観測 信楽MU観測所に設置したレーリーライダーにより、成層圏気温の観測を行った。これにより上部成層圏の大気重力波が観測され、周期数時間の重力波が鉛直伝播していることが示された。さらにとMUレーダーによる観測との比較より、上部成層圏と対流圏の波動の繋がりが示された[Nakamura et al.,印刷中]。 MFレーダー観測 インドネシア赤道域のカリマンタン島に設置したMFレーダーを用いて、上部中間圏の数10日周期の波動の相関解析を行なった。その結果、対流圏の季節内振動と有意な相関を持つことが見出された[Isoda et al.,印刷中;Isoda et al.,投稿準備中]。
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