研究課題/領域番号 |
11440143
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
気象・海洋物理・陸水学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
柳 哲雄 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (70036490)
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研究分担者 |
磯辺 篤彦 九州大学, 総合理工学研究院, 助教授 (00281189)
松野 健 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (10209588)
増田 章 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (60091401)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | 黒潮 / 前線渦 / 傾圧不安定 / 海水交換 / 東シナ海 |
研究概要 |
東シナ海の陸棚縁で年間を通じて発生している黒潮前線渦の特徴を明らかにするために、これまで5月ないし6月、4回にわたって、長崎大学の練習船「長崎丸」又は「鶴洋丸」を使って、現地海洋観測を行った。観測は陸棚縁を横切る観測船上で毎日のCTD観測、ADCP観測を1週間反復することにより、この観測断面を通過する前線渦の水温、塩分、流速、濁度、栄養塩分布の3次元構造を明らかにしようとしたものである。これまでの現地観測の結果を総合すると、黒潮前線渦の波長は約200Km、発生周期は約10日、位相速度約30cm/secで黒潮の流下方向に移動する。この前線渦は陸棚縁の陸岸側に高温、高塩の黒潮水、外洋側に低温、低塩の陸棚水を張り出すが、陸棚水の外洋側への張り出しの中央部には下層から低温、高塩分水の湧昇が見られ、この湧昇に伴って、溶存無機リン、溶存態無機窒素など栄養塩濃度の高い黒潮亜表層水が陸棚に輸送される。この前線渦は傾圧不安定により生成されるが、同じように傾圧不安定により生成される湾流前線渦は同じ波長なのに、周期は5日、位相速度は60cm/secと黒潮前線渦の2倍の速さで伝播する。この理由は湾流前線渦の生成される陸棚の水深が約50mと、黒潮前線渦の生成される陸棚の水深約100mの半分であるためである。今後、東シナ海全域の陸棚水と黒潮水の海水交換に対して黒潮前線渦の果たす役割を定量的に評価する必要がある。
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