研究課題/領域番号 |
11440144
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
藤井 良一 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (00132712)
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研究分担者 |
小川 忠彦 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (60271607)
野澤 悟徳 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助手 (60212130)
BUCHERT S・C 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教授 (70293719)
前田 佐和子 京都造形芸術大学, 芸術学部, 教授 (00199613)
渡部 重十 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90271577)
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キーワード | イオン流出 / イオン加熱 / 極冠域 / オーロラ帯 / 高緯度電離圏 / スヴァールバル欧州非干渉散乱レーダー / EISCATレーダー / ISスペクトル |
研究概要 |
本研究課題は、イオンの加熱や流出過程が頻繁に生起しているにも拘わらず、従来十分な観測研究が実施されていない極冠域(開いた磁力線領域)の電離圏上部において、スヴァールバル欧州非干渉散乱(EISCAT)レーダー(ESR)観測を行い、それらの物理機構を解明することを目的としている。さらに、オーロラ帯での他のISレーダー、人工衛星、そして極域全体をカバーする地上観測(SuperDARNレーダー)との共同観測研究を行い、高緯度電離圏における、この現象の果たしている役割を総合的に理解することも重要な目的である。 極域電離圏からのイオン流出の原因と関係すると考えられる異常な受信スペクトルを調べるため、ESR用に受信スペクトル表示プログラムを開発し、イオン速度と異常な受信スペクトルとの関係を調べた。そして、異常なスペクトルを受信した直後に沿磁力線上向きのイオン速度の増加が見られた。これは異常なスペクトルを受信する時間帯に、イオンが上向きに加速されることが示唆される。さらに、イオンの運動方程式からイオンに働く加速度を、温度等の物理量を導出できない異常な受信スペクトルを取り除いて見積った場合、イオン上昇流が起きている時間帯にイオンに働く加速度は、イオン上昇流が起きていない時間帯に働く加速度と変わらずほぼ一定であることが分かった。この結果からもイオン上昇流を引き起こす加速は、異常なスペクトルを受信する時間帯に働くことが示唆される。 イオン上昇流の発生メカニズムの領域による違いを調べるため、ノルウェーのトロムソに設置されている他のEISCATレーダーを用いてイオン上昇流と磁気地方時による依存性を調べた。その結果、真夜中側で起きるイオン上昇流と朝側、夕方側で起きるイオン上昇流とは発生メカニズムが異なることが示唆された。
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