研究課題/領域番号 |
11440148
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
指田 勝男 筑波大学, 地球科学系, 教授 (60134201)
|
研究分担者 |
鎌田 祥仁 山口大学, 理学部, 助手 (30294622)
小室 光世 筑波大学, 地球科学系, 講師 (40251037)
安達 修子 筑波大学, 地球科学系, 講師 (80182997)
|
キーワード | P / T境界 / パンサラッサ / テーチス / 関東山地 / 足尾山地 / タイ国 / 貧酸素海洋 / 放散虫 |
研究概要 |
今年度の関東山地、足尾山地および東南アジアタイ国での野外調査により、P/T境界層に関する新たな知見が得られた.ここでは放散虫化石層序と地球化学的な成果に関してその概略を述べる. これまでの本研究代表者らの検討により、ペルム系最上部の放散虫化石帯はNeoalbaillella optima帯であることが明らかになっているが、本化石帯の最上部にはNeoalbaillellaの新種を含む放散虫絶滅事件直下での大繁栄期があった.この時期には100種を超える放散虫動物群が識別されている.しかし、三畳系最下部のGriesabachianではこれまで全く放散虫動物群の繁栄は知られていない.一方その上位のDienerianになるとEntactinariaで4属、Spumellariaで1属の放散虫動物群が認められる.その後SpathianからAnisianにかけ、爆発的に回復する.海洋環境の復元と安定化が進んだものと思われる. 地球化学的な検討により、本研究代表者らの公表は未だなされていないが、δ13Cおよびδ18Oの値がP/T境界を境に急激に降下すること、また87Sr/86Srおよびδ34Sの値が、同様にP/T境界の直下で急激に減少し、P/T境界をこえるとまた急激に上昇することが明らかになった.このことはP/T境界直前に大規模な玄武岩を中心とする火山活動の活発化とそれに伴う二酸化硫黄や粉塵の大気中への放出があったことが考えられる.これにより日射量の急激な減少と大陸氷河の形成および大海退減少-生物の大量絶滅というシナリオが出来上がることになる.
|