研究概要 |
マントルアセノスフェアの流動を地質学的に研究するため,アラビア半島オマーン王国に露出する世界最大のオフィオライトが研究対象である.平成11年度は次年度以降に詳細な解析をするためのマントルかんらん岩のサンプルを選択すること,そして,解析に必要な設備を整えることに重点をおいた.サンプルの選択については,その前提として必要な野外調査を行った.海外学術研究の調査団の一員としてオマーン王国で現地調査を行い.ヒルチ岩体マントルセクションの大構造を明らかにした.これにより,マントルの垂直方向の変化を解析するために必要なサンプル採取ルートを選択することができた.現在,採取したサンプルの処理を進めており,次年度以降に解析するサンプルを決めている段階である.解析に必要な設備については,Leicaのマクロ顕微鏡を購入し,それとパソコンを接続するCCDカメラを取り付けた.これによって,サンプルの組織解析を容易に行う体制を整えた.ただし,予算の関係でCCDカメラの解像度に不満が残った.この問題については,次年度以降検討することにした.本研究では,フランス・モンペリエ大学のSEM-EBSDを使用させてもらう予定である.そこで,その試料を効率よく作成するために薄片研磨装置を購入した.現在,この装置の試運転を開始している段階である.この他に,名古屋大学と共同で岩石研磨面から岩石組織を解析するための手法を研究している.本年度は,この手法を剪断帯に応用した研究を国際誌Tectonophysicsに発表した.次年度以降,この手法をマントルかんらん岩に適用していく予定である.
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