世界最大の海洋プレート断片であるオマーンオフィオライトのマントルかんらん岩には、かつてのアセノスフェア流動が凍結されており、その解析は現在の海洋プレートの形成過程及びその改変過程を考察するために重要な情報をもたらす。本研究は、かんらん岩中の包有物であるスピネル粒子の形態を利用して、マントル流動速度を見積もる方法を開発することを目的とする。 本年度は、昨年度に結晶方位を測定したスピネル粒子の化学組成をSEM-EDXとEPMAによって測定した。その結果、AlとCrのゾーニングとFeとMgのゾーニングを確認できた。このゾーニングは差応力によって引き起こされた拡散クリープの結果と考えられる。結晶方位の定向性と合わせると、マントル中のスピネルの変形には拡散クリープと転位クリープの両方の変形機構が働いていることがわかった。現在、この結果を論文にまとめているところである。
|