研究課題
南中国メイシャンのペルム紀/三畳紀境界前後に堆積した地層の試料を化学分析をした結果、2億5千万年前のペルム紀末の史上最大の生物の大量絶滅と同時に硫酸塩の硫黄同位体比と砕屑物中のストロンチウム同位体比が急激に減少していることを、初めて発見した。ストロンチウム同位体比の減少は、その値から、大陸地殻起源からマントルないし海洋地殻起源に変化したことを示す。これらの事実は、マントルないし海洋地殻から硫黄が大量に供給されたことを意味する。昨年度に明らかにした小天体衝突起源と考えられるFe-Ni-Si粒子は、これら硫黄同位体比とストロンチウム同位体比の減少と同時である。硫黄同位体比の減少量から計算した衝突クレーターの直径は、1200kmである。しかし、このような大規模の小天体衝突は、火山活動を誘発するため、火山からマントル起源の硫黄が大気へ付加されるため、衝突はこれより小規模で良い。P/丁境界の約500万年前のグアダルピアン/ロピンジアン境界にも大量絶滅が起きたとされているが、どのような環境変動が起きたかは分かっていない。その大量絶滅が記録されている南中国のライビンの海洋堆積物中に、大量絶滅と同時に炭素同位体比と硫酸塩の硫黄同位体比が減少したことを初めて明らかにした。また、大量絶滅層準からFe-Niに富む粒子を発見した。ストロンチウム同位体比と微量元素を測定中で、原因解明にあと1歩である。中国の雲南の先カンブリア系/カンブリア系境界、イーチャンのオルドビス系/シルル系境界、ライビンのペルム系グアダルピアン/ロピンジアン境界、メイシャンのペルム系/三畳系境界から採取した堆積物試料のバイオマーカー分析を行った。その結果、光合成帯の還元環境を示す緑色硫黄細菌由来と考えられるバイオマーカーの濃集を各境界付近から発見した。インド洋イクスマス海台の白亜紀底生有孔虫化石層序を明らかにし、白亜紀セノマニアン/チューロニアン境界における底生有孔虫の絶滅事変と溶存酸素の減少が、インド洋深層水でも起きたことを明らかにした。スペインのセノマニアン/チューロニアン境界で試料採取を行った。
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