研究概要 |
Phase A,Mg_7Si_2H_6O_<11>は地球の上部マントル下部,深さ400km-670kmまでに安定領域をもつと考えられている含水相であるが,10.8 GPaまでの高圧下でのphase Aの構造を放射光及び封入型X線管を用いた単結晶X線法で調べた結果,phase Aの構造の圧力に対する振る舞いは,オリビンであるforsteriteによく似ていることが解った.これはunit cellの圧縮の体積弾性率の値がforsteriteの体積弾性率の値に近いことや10 GPa付近までの高圧下での結晶構造の圧縮がMgO_6八面体の圧縮に支配されていて,SiO_4四面体はほとんど変化しないという実験結果から示された.また,Phase Aと化学組成の類似するHumite groupの鉱物は地球の上部マントル上部,深さ400kmまでに安定領域をもつと考えられている含水相であるが,その化学組成がforsterite,Mg_2SiO_4とbrucite,Mg(OH)_2の組み合わせで表せることから,結晶構造や弾性定数もforsteriteとbruciteの組み合わせで表せるとこれまで考えられてきた.しかし,今回humite groupの鉱物の一つであるchondroditeについて6 GPaまでの高圧下で結晶構造を解析し,弾性定数や高圧下での結晶構造の振る舞いはforsteriteに極めて近い事を明らかにした.
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