研究課題/領域番号 |
11440159
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩森 光 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (80221795)
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研究分担者 |
鳥海 光弘 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (10013757)
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キーワード | 沈み込み帯 / 火成作用 / 変成作用 / 数値モデル / コンピュータシミュレーション / 溶融 / 高圧変成帯 / 地震波速度構造 |
研究概要 |
地球の沈み込み帯におけるマントル対流、温度構造、物質循環は、沈み込み帯での火山-地震活動などの地質学現象のみならず、地球規模での物質-エネルギー収支を考える上で重要である。本研究では、これらの現象に対応する数値モデルを開発し、火成-変成作用の再現や観測との対比を通して、沈み込み帯の地質学的現象の定量的理解を目指す。このために本研究初年度のあたる今年度は、(1)数値モデルの基礎プログラムの開発、(2)並列型計算機の導入と効率的計算方法の探求、(3)計算結果の観察事実との対応方法の探求の主に基礎的、および技術的な側面に重点がおかれた。(1)に関しては、固体状態におけるマントル対流とその媒体中を移動する流体の運動、化学反応に関するモデルが提出された。(2)については、疎合結合型の並列計算機が導入され、まだ試験段階でありかつハードウエアーに初期不良と考えられる不安定性が存在するものの、高い計算能力と数値モデルへの効率的な適用が確かめられつつある。(3)に関しては、数値モデルから予想される沈み込み帯の温度構造・流体分布を、これまでの実験的研究をとおして地震波速度構造に読みかえる試みがなされ、実際の速度構造との対比がなされた。その結果、日本列島(特に東北日本、中部日本、九州北部)における地震波速度構造とその特徴がモデルにより説明され、沈み込むプレートから放出される流体の量や位置が、主に沈み込むプレートの年齢(言い替えるなら沈み込む直前の熱構造)に依存していることが分かった。さらに、東北日本や中部日本では従来考えられているよりもH_2Oが深く(200-300km)にまで沈み込み、その後上昇してマグマを生成しているらしいことが明らかとなってきた。これらの成果の一部は岩森(1999)、Iwamori and Zhao(2000)として公表された。
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