研究課題/領域番号 |
11440159
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩森 光 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (80221795)
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研究分担者 |
鳥海 光弘 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (10013757)
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キーワード | 沈み込み帯 / 火成作用 / 変成作用 / 数値モデル / コンピュータシミュレーション / 溶融 / 変成帯 / 地震波速度構造 |
研究概要 |
今年度は、(1)昨年度中に開発された数値モデルによる火成作用のシミュレーションの推進と、世界の沈み込み帯における火山の分布や地震波速度構造との対比、(2)変成岩および変成帯の鉱物化学組成と流動組織に記録されている岩石塊の温度-圧力-変形-時間経路を再現する数値モデルの開発、が行われた。(1)に関しては、日本列島を含む太平洋北西部、およびアメリカ大陸西岸部における火山の分布(一部の地域については地震波速度構造についても)が、マントル対流-熱構造-H_2Oの循環-マグマの生成を含む本モデルによって定量的に説明され得ることが分かった。このことから、沈み込むプレートから放出される流体の量や位置(深さ)が、主に沈み込むプレートの熱構造(プレートの年齢と沈み込み速度に依存)により支配されていることが分かった。また、中部日本や南部アメリカアンデス山脈の一部では、沈み込むプレートの形状や配置の特異性のために沈み込むプレートの熱回復が著しく遅く、H_2Oがプレートからの脱水反応が十分に起らず、沈み込んだH_2Oの数十パーセントが300km以深のマントルに持ち込まれていることが推定された。(2)については、(1)のモデルの延長として、極めて若くて熱いプレートあるいは海嶺の沈み込みにより、高圧型と高温型の変成帯がほぼ同じ場で短時間(数から数十万年)で形成され得ることをはじめて見いだした。また変成帯とそこに見られる変形を有限の厚さをもつ2枚の剛体板に挟まれた粘性流体とその流動として捉え、様々な形状および熱的-力学的境界条件のもとに数値モデル化を行いつつある。その結果、従来考えられているモデルのうち、プレートの沈み込みに伴う接線方向の応力を駆動力とする流動と変形が実際の観察事実をうまく説明し得ることが分かってきた。
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