下部マントルにおけるスラブ構成鉱物の高圧相転移と熱力学的性質

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11440162
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 学習院大学
• 研究代表者: 赤荻 正樹 学習院大学, 理学部, 教授 (30126560)
• 研究分担者: 鈴木 敏弘 学習院大学, 理学部, 助手 (40235974)
• キーワード: 高圧相転移 / 熱測定 / 下部マントル / スラブ / ペロブスカイト / メジャーライト / カルシウムフェライト

研究概要

沈み込むスラブを構成する鉱物の下部マントルでの相平衡関係を明らかにするために、以下の高圧実験、熱測定実験を行い、成果を得た。
1)Mg_4Si_4O_<12>-Mg_3Al_2Si_3O_<12>系のメジャーライト固溶体が23-27GPa、1600℃でペロブスカイト固溶体へ転移する際の相関係を決定し、さらに同じ圧力範囲で900℃においてメジャーライトがイルメナイトを経てペロブスカイトに転移する際の相関係を予察的に決定した。(赤荻)
2)NaAlSiO_4ネフェリンが中間相を経てカルシウムフェライト相に転移する相関係を1000-1500℃、23GPaまでの範囲で決定した(赤荻、鈴木)。
3)CaMgSi_2O_6ディオプサイドのCaSiO_3ペロブスカイト、Mg_2SiO_4スピネル、SiO_2スティショバイトへの分解反応の相境界線を900-1200℃、22GPaまで決定した(鈴木)。
4)CaSiO_3-CaTiO_3系ペロブスカイト固溶体及びCaSiO_3ウオラストナイトの熱測定を行い、CaSiO_3のウオラストナイト-ペロブスカイト転移の熱力学データを得た。またNaAlSiO_4ネフェリン、カルシウムフェライトの熱測定を行い、その転移エンタルピーを決定した(赤荻)。これらの測定は、今回購入した高精度温度コントローラを用いて既設の高温微少熱量計を制御することにより行った。この高精度温度コントローラを使うことによって得られた熱量計の高いベースライン安定性が、微少量の高圧相の熱測定には欠かせなかった。

研究成果

• [文献書誌] Akaogi,M.: "Calorimetric study on majorite-perovskite transition in the system Mg_4Si_4O_<12>-Mg_3Al_2Si_3O_<12>:transition boundaries with positive pressure-temperature slopes"Phys.Earth Planet.Interiors. 114. 129-140 (1999)
• [文献書誌] Akaogi,M.: "High pressure transitons in the system MgAl_2O_4-CaAl_2O_4:a new hexagonal aluminous phase with implication for the lower mantle"Phys.Earth Planet.Interiors. 115. 67-77 (1999)
• [文献書誌] Matsuzaka,K.: "Mg-Fe partitioning between silicate spinel and magnesiowustite at high pressure"Phys.Chem.Minerals. (in press). (2000)
• [文献書誌] Suzuki,T.: "Partitioning of major elements between garnet-structured minerals and silicate melt at pressure of 3-15 GPa"Phys.Earth Planet.Interiors. (in press). (2000)
• [文献書誌] Koito,S.: "Calorimetric measurements of perovskites in the system CaTiO_3-CaSiO_3 and experimental and calculated phase equilibria for high-pressure dissociation"Phys.Earth Planet.Interiors. (in press). (2000)
• [文献書誌] Akaogi,M.: "Clues from a shocked meteorite"Science. 287. 1602-1603 (2000)