研究概要 |
本研究の目的は、日本列島を挟む「日本海」、「西部北太平洋」を研究海域と設定し、「生物起源粒子の生成量とその組成変化」に注目して、「二酸化炭素溶入量」を、「海水成分の変化」にも関連させて、明らかにすることである。主な手法は、2つの海域にセジメントトラップを設置して、表層から深層へ沈降していく粒子(特に、海洋生物が作った成分)の時空間変動を観測して、解析することである。 今年度の研究の経過と成果 ★西部北太平洋:44°00'N,155°00'E (水深約5300m) 平成10年度までに既存の設備で研究の一部を開始していた。得られた試料を分析、解析して得られた結果の主な3点をあげる。 (1)全粒子束は季節変動しており、6月から7月に大きかった。 (2)大きな全粒子束が観測された時は、粒子中の生物起源ケイ酸塩(オパール)の量が多かった。 (3)粒子中の有機炭素と無機炭素の比は、春季から夏季に5以上であった。このことは、この海域では、生物粒子を作る時に、大気中の二酸化炭素を吸収していることを示している。 ★日本海:平成11年11月に計画通りに北星丸(北海道大学水産学部)航海で、39°29'N,136°29'E(大和海盆:水深2700m)と42°28'N,138°30'E(北部日本海:水深3600m)の2点にセジメントトラップ設置した。同時に海水成分測定などの海洋観測を行った。セジメントトラップは平成12年の秋に揚収する。ただちに、補集された粒子の化学成分を測定し、海洋観測データも取り入れて太平洋海域と比較する予定である。
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