研究課題/領域番号 |
11440167
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
海老原 充 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10152000)
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研究分担者 |
大浦 泰嗣 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90291567)
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キーワード | コンドライト質隕石 / 初期太陽系 / 水銀 / 神戸隕石 / 南極隕石 / CKコンドライト / 塩素 |
研究概要 |
コンドライト質隕石の元素組成は太陽系の元素組成に近似的に等しいが、揮発性元素の組成は限石間で大きく異なる。隕石中の揮発性元素の組成を正確に求めることにより、太陽系初期の環境や物質進化について考察することが可能となる。水銀は代表的な揮発性元素であるが、その存在度に関してはこれまでいろいろな問題が指摘されてきた。本研究では、炭素質コンドライトと普通コンドライトについて、水銀の含有量と、隕石を加熱することによってどのように水銀が揮発するかを調べ、併せてそのように回収された水銀の同位体比を求めた。その結果、水銀は比較的低温(200℃)でかなりの部分が揮発することが分かった。その揮発パターンは炭素質隕石と普通隕石ではそれほど違わないことも分かった。また、南極隕石では水銀の過剰存在度が見出され、南極大陸上での汚染があったものと思われる。以上の研究と並行して、2000年の1月に落下した神戸隕石について詳細な分析を行った。神戸隕石は落下直後に回収された隕石であり、地球上での汚染をほとんど経験していないことから隕石のもつ元素組成の特徴を正確に求めることができた。また、同隕石はCKに属し、これまでもっとも研究の遅れていた隕石グループの一つであったことから、その意味でも大きな意義を認めることができる。神戸隕石中の揮発性元素として、塩素、ホウ素、硫黄等を定量する事ができた。これらの元素はCIコンドライトに比べて0.2-0.3倍しか存在せず、CKコンドライトはこれら個発性元素を十分集積することなく形成されたものと考えられる。炭素質コンドライト中の揮発性元素存在度に関してはグループ間で大きな違いが見られるが、CKコンドライト中での揮発性元素の存在度はCRに次ぐもので、COと同程度であることが分かった。
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