研究課題/領域番号 |
11440169
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
竹内 英夫 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (30111454)
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研究分担者 |
三浦 隆史 東北大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (30222318)
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キーワード | 紫外共鳴ラマン分光法 / タンパク質構造解析 / 膜タンパク質 / バクテリオロドプシン / インフルエンザウイル / イオンチャネル / トリプトファン / ヒスチジン |
研究概要 |
配向試料中の紫外発色団の向きを定量的に決定することのできる偏光紫外ラマン強度差分光法を、膜タンパク質に適用できるように、理論的・実験的に拡張・発展させることが本研究の目的である。前年度の予備的研究成果を踏まえ、今年度は以下の研究を行った。 1.代表的な膜タンパク質であるバクテリオロドプシンの配向膜を作製する方法を確立した。また、配向度を吸収分光法と偏光可視共鳴ラマン分光法を用いて調べ、高度に(93%以上)配向していることを確認した。 2.野生型バクテリオロドプシンおよび189番目トリプトファンをフェニルアラニンに置換したミュータントに偏光紫外ラマン強度差分光法を適用し、189番目トリプトファンのインドール環側鎖の配向状態を決定した。得られた結果は、X線構造解析により求められているものと良い一致を示した。 3.バクテリオロドプシンの光反応中間体の一つであるM中間体を低温で補足する方法を確立し、偏光紫外ラマン強度差分光法をM中間体にも適用することにより、M中間体形成に伴う189番目トリプトファン側鎖の配向方向変化を決定した。 4.以上のように、偏光紫外ラマン強度差分光法を種々の膜タンパク質の静的および動的構造解析に応用するための基礎を確立することができた。 5.インフルエンザウイルスの膜タンパク質であるM2イオンチャネルについて、チャンネル活性化に伴うヒスチジンおよびトリプトファン残基の構造変化を調べ、ヒスチジンのプロトン化とヒスチジン-トリプトファン間相互作用がチャンネル活性化機構において重要な役割を果たしていることを明らかにした。この研究により、偏光紫外ラマン強度差分光法を、M2イオンチャネルにも適用するための基礎固めができた。
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