研究概要 |
まず初年度に、自作の^<129>Xe NMR用の高圧高分解能NMRプローブに改良を加え,超臨界CO_2(臨界温度31.0℃,臨界圧72.9atm)の条件で使用できる温度可変(-70〜+150℃)のin situ固体高圧(200気圧)高分解能NMRプローブを設計・製作した. プローブの性能を確認するためにBruker MSL-200NMR装置を使用し,ミクロポアーやメソポアーをもつ多孔質触媒中の超臨界Xe(T_c=289.8K, P_c=5.8MPa, ρ_c=1.15gcm^<-3>)のNMR測定を行った. この実験法は吸着力が弱い系にも適用できるので、種々のポリマー中の自由体積(ミクロ細孔)の大きさを^<129>Xe NMRにより決定した。これらの細孔径は陽電子消滅法から求められた値とよい相関があることがわかった。 次に、典型的なメソ細孔物質FSM-16の細孔径dが1.9,2.7,4.1nmの試料について^<129>Xe化学シフトの圧力依存性を測定した。d=1.9nmの場合、約2MPaから細孔壁と強く相互作用する成分と比較的自由に動ける成分がはっきり分離して観測された。d=4.1nmの場合は、バルクに類似した挙動で、単一の成分しか観測されない。d=2.7nmの場合には中間的な挙動を示し、臨界現象が起こるためにはこの程度の空間が必要であることが示唆された。また細孔内外の交換速度を^<129>Xeの二次元交換NMRで調べた。 さらに、試料の形状や水分が吸着挙動に与える影響を定量的に調べるために、細孔径1.0nmのモレキュラーシーブ13Xおよび細孔径0.5nmの5Aの試料について、Xeの臨界点付近での吸着挙動を調べ、両者の吸着特性を比較検討した。
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