アニリンダイマーイオンおよびベンジルアルコール・ベンゼンヘテロダイマーイオンに光解離分光を定適用して、ダイマーイオンの幾何構造と電荷共鳴の関係について調査した。アニリンダイマーイオンの900nm付近の吸収強度はベンゼンダイマーイオンの吸収強度の極大値の3%以下である。また、700-1400nm領域には強い吸収体は観測されない。また、アニリンダイマーイオンにおいて水素結合の存在を示すNH伸縮振動の吸収が観測された。これらの結果は、アニリン分子間の水素結合のために、π電子系の重なりが大きい構造をとれないために、共鳴相互作用が小さいことを示唆している。 これに対して、ベンジルアルコール・ベンゼンヘテロダイマーイオンにおいては、950nm付近に強い電荷共鳴(CR)バンドが観測された。また、ベンジルアルコールのフリーのOH伸縮振動による吸収が3662cm^<-1>に観測された。こらの結果から、ベンジルアルコール・ベンゼンヘテロダイマーイオンにおいては水素結合相互作用よりも電荷共鳴相互作用が強いために、2個のベンゼン環がサンドイッチ構造をしていることが示された。現在、分子クラスターイオンの骨格の振動スペクトルについても調査するために、質量選別パルス電場イオン化スペクトルの装置の製作を進めている。
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