研究概要 |
Alq3/TPD発光ダイオード(有機層の厚さ,100nm)を製作して,入射角45度で偏光赤外反射的吸収スペクトルを測定した.p偏光スペクトル強度はs偏光スペクトル強度よりも桁違いに強く観測された.この現象を解析するために,Al/LiF/Alq3の三層構造を製作してLiF層の厚さとp偏光強度/s偏光強度の値を測定した.入射光と反射光の合成で生成する定在波の強度を計算して,定性的に観測値を説明することができた.デバイスの反射吸収スペクトル強度の由来を明らかにすることができた.ポリチオフェン誘導体を材料として金属・絶縁体(アルミナ)・半導体ダイオードを製作して,ゲート電極に電圧を印加することにより電場効果ドーピングを行った.赤外反射的吸収測定法とFT-IR差スペクトル法を組み合わせることにより電圧誘起赤外吸収スペクトルを測定し,電場効果ドーピングにより生成したキャリヤーについて検討した.その結果,ポーラロンが生成していることがわかった.また,電場効果トランジスターを製作して,ソース電極とドレイン電極間すなわちチャンネルの電気伝導度の温度依存性を室温から4Kまで,2端子法で測定した.その結果,半導体的な挙動が観測された.電場効果ドーピングでは,共役高分子に注入されるキャリヤー密度(電荷移動量)は印加する電圧に比例し,今回の実験におけるキャリヤー密度は10^<13>/cm^2弱と見積もられる.ゲート電圧を約40V以上にすると,デバイスが壊れてしまい,キャリヤー密度を10^<14>/cm^2のオーダーにすることができなかった.今後,高い電圧まで壊れないデバイスを作る必要がある.
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