研究課題
基盤研究(B)
エネルギー分散型XAFS実験装置に設置できるように小型の弯曲機構を備えたミラーベント機構およびミラーを開発し、鉛直方向のビームの集光および高次光の抑制に効果的であることを確認した。フォトダイオードアレーを検出器として用いて光学系および検出系の評価実験を行った。本XAFS実験光学系では試料をビームの集光点付近に設置するが、従来行われていた二等辺三角形の分光結晶の底辺を保持しながら頂点を押す方式では十分に小さい集光を得られない。このため試料の厚さむらがスペクトルに反映してしまう問題があった。この問題点を解決するために長方形の分光結晶を円形に弯曲させる結晶ベント機構およびこのベント機構を分光器に取り付けるためのベント機構取付台を製作し、集光の評価を行った。また、フォトダイオードアレーの場合は読み出し速度に限界があり、将来の高速時分割実験の律速となるため、CCDをキネティックスモードで使用することとし、このためのキネティックス用光学システムを製作した。in situ触媒反応について、銅を担持したCu-ZSM-5触媒はNOの分解に対して高い活性を示し、この活性が銅のredox反応と関係していることが知られている。今回はこの触媒の40Torrの水素中における昇温還元反応を時間分解能1秒の時分割XAFS法で追跡し、反応開始時に二価であった銅が400〜450K付近で一価に還元され、更に550〜650Kで0価に還元されていることが分かった。XAFSの解析より、550K付近では平均としてCu_3構造をとっていたものが昇温とともにクラスターがZSM-5のケージから外に移動して成長し、670KではCu_<7.8>となっていると解釈できる。ストップトフロー反応装置を用いた溶液反応については予備的な実験を行い、本研究で用いた光学系、検出系を用いて解析に耐えるスペクトルを得られることを確認した。
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