化学反応を実時間追跡する方法として、フェムト秒pump-probe光電子画像観測法を開発した。電子、振動位相緩和を光電子エネルギー分布の変化から検証した。さらに、超音速分子線中の分子をフェムト秒レーザーで励起電子状態の複数の回転状態にコヒーレントに励起し、回転波束の時間発展を光電子画像の強度と角度分布の変化から観測する方法を開発した。回転波束は光励起直後に分子軸をcos^2θの精度で整列させるが、異なる角運動量成分の干渉が起こり、高速に等方的分布に変わる。回転温度20Kのピラジン分子の場合、これは2.8psであった。ピラジンのS1状態からのイオン化では、光電子は面外に放出されるのが主であるが、面内、おそらく窒素原子の方向に放出される確率が比較的大きいことが判明した。同論文は、光電子角度分布を分子固定系で測定する新手法として注目され、Physical Review Lettersに現在印刷中である。強レーザー場を導入することで、回転波束の角運動量成分を増やすことが出来るため、分子の空間配向(整列)をより先鋭に確立することも可能である。
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