研究課題/領域番号 |
11440184
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
丸岡 啓二 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20135304)
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研究分担者 |
大井 貴史 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80271708)
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キーワード | 隣接基関与 / アニオン種 / ヘテロ原子 / セレン / テルル / 金属ハロゲン交換 / 炭素炭素結合形成 |
研究概要 |
本年度は隣接基関与を有効に活用した新規アニオン種の発生システムを案出するため、前駆体となる化合物をデザインした。ヘテロ原子としてセレン、テルルを選び、これらと炭素原子との結合の近傍にヨードフェニルあるいはヨードビニル基を導入し、あらかじめそこに発生させた炭素アニオンの関与により、炭素-ヘテロ原子結合の不均一開裂が促され、穏和な条件下望ましい炭素アニオンを発生させることを見い出した。具体的には、ヘテロ原子としてセレン、テルルを選び、o-(o-ヨードフェニル)フェニルセレノエーテルをTHF中、低温下でt-ブチルリチウムで処理すると、炭素アニオンがすみやかに発生することがベンズアルデヒドでの捕捉実験で明らかになった。また、ジベンゾセレノフェンがほぼ定量的に副生することからも、炭素アニオンの発生が伺える。ヘテロ原子としてより反応性の高いテルル原子を用いると、より速やかにアニオン発生が起こるため、ベンズアルデヒドでの捕捉収率が増大することが認められた。本法によるアニオン生成は低温下、非常にすみやかに起こるため、分子内にアミドなどのカルボニル基を有している場合にも適用できることが判った。さらに効率的なアニオン種発生に必須の反応条件を明らかにするため、用いるアルキル金属反応剤、反応溶媒、温度等について詳細に検討した。この過程で、発生させたアニオンと親電子剤との反応についても併せて検討した。このように、金属-ハロゲン交換によって開始される隣接基関与を活かした新規なアルキル金属種の発生法を案出することができ、新しい形式の炭素-炭素結合形成反応の確立に成功した。
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