研究概要 |
1.π,σ結合を通す分子内での遠隔化学反応の研究 1,4-ビスジメチルチオベンゼンのモノオキシドと(CF_3CO)_2OによるPummerer転位反応では、分子間のS...S間相互作用が分子内でのベンゼン環を通す相互作用よりも優先的に進行し、上記1,4-ビスジメチルチオベンゼン2分子間のS-S間で、テトラカチオンが生成した後、Pummerer転位の進行することを明らかにした。一方、ビス-4-メチルチオフェニル-4'-メチルスルフィニルフェニルスルフィドを用いた(CF_3SO_2)_2O存在下の脱酸素反応や(CF_3CO)_2OによるPummerer反応でも同様にフェニル末端位にあるS-S間の相互作用によるテトラカチオンの生成を明らかにした。一方、メチルチオ基の代わりにベンジルチオ基を用いた(CF_3SO_2)_2Oとの反応では環状のジスルフィドが単離出来ることを見出し、この反応でもテトラカチオンが中間体に生成していることを明らかにした。一方、ナフタレンの1,4-位、ビフェニルの4,4'-位に同じようなチオ基をもつ化合物の酸素交換やPummerer反応もテトラカチオンを経るが、アントラセンの9,10-位にメチルチオ、メチルスルフィニル基を持つ化合物のPummerer反応では9,10-位にカチオンを生成し、CF_3CO_2基が付加した後,酸化反応により,9,10-アントラキノンが収率良く生成する反応を見出した。 2.スイッチングによる遠隔反応の遮断と非線型的刺激の伝達反応 2,6-ビスチオメチルテルリドの4位にメチルスルフィニル基を選択的に導入し、(CF_3SO_2)_2Oと反応させると酸化的脱酸素化の後に,刺激がテルルに伝達され高配位テルルジカチオンになる反応を見出した。
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