研究課題/領域番号 |
11440190
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
笹井 宏明 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (90205831)
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研究分担者 |
荒井 孝義 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (80272483)
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キーワード | 配位子 / 不斉触媒 / スピロ / イソオキサゾリン / オキシパラデーション / Wacker反応 / タンデム |
研究概要 |
我々の研究室で開発した不斉配位子スピロビスイソオキサゾリンの合成法について種々検討し、メチル基、エチル基、イソプロピル基を導入したSPRIX誘導体の合成に成功した。これらの誘導体についても、無置換のSPRIXと同様に光学異性体分離カラムにより光学分割することができた。SPRIXおよびその誘導体は、酸性、塩基性、さらに酸化条件下でも安定であり、各種金属と錯体を形成することも見出した。SPRIX-Pd(II)錯体を用いる触媒的不斉Wacker反応を検討したところ、アルケニルアルコールを基質として環状エーテルを70%eeにて得ることに世界で初めて成功した。パラジウム塩としてはパラジウムトリフロロ酢酸が最も有効であり、溶媒としては塩化メチレンを用いている。また、パラジウム触媒の再生に必要な酸化剤としてはベンゾキノンを用いた場合に好結果が得られている。本反応を既存の不斉配位子を用いて検討しても、光学活性な環状エーテルはまったく得られないず、SPRIXの不斉配位子としての特徴を如実に示している。さらにWacker型酸化反応における中間体を分子内の別の炭素-炭素二重結合で補足する反応系を検討したところ、目的のビシクロ体を最高95%eeにて得ることができた。反応機構の解析についても検討した結果、ビシクロ体は、オキシパラデーションを経由し、パラダサイクル中間体から生成していると考えている。本反応も既存の不斉配位子では進行しない。本反応では反応の最初の段階で停止した副生物も生成したが、メタノールのような1級アルコールを共存させるとビシクロ成績体の収率は大きく向上した。アルコール以外の添加物については現在も検討を続けている。
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