研究概要 |
1.自立型分子の合成:計画していた自立分子の基盤部に当たるポルフィリン「分子ジャック」となるテトラキス(3,5-ジメチルチオフェニル)ポルフィリンの合成を終えた。今年度中に、ポルフィリンに金属を導入し分子ワイヤーを導入した自立型分子を完成する予定である。 2.サブマイクロメーターサイズのポルフィリンアレイの合成:溶解性が低下する問題点をクリアーするために、固相法による合成を検討した。固相法に適用できる基本反応を開発した。 3.目的とした光スイッチング分子の合成に成功した。また、電極間ギャップが約80ナノメーターの金のナノギャップ電極を作成した。このナノギャップ電極と80ナノメーター程度の金のナノ粒子による少数分子によるエレクトロニクスデバイスの作成に成功した。その電気特性を測定し、少数分子によるデバイスに特有の特徴であるコンダクタンスの量子化を観測できた。 4.新規低エネルギーギャップ分子ワイヤーの開発:アンチモンやビスマスなどの重たい第15族元素を含むポルフィリン及びN-混乱ポルフィリンは計算によるとかなり低いエネルギーギャップを持つ。エネルギーギャップが小さいほどトンネル抵抗が小さく良い分子ワイヤーとなるはずである。N-混乱ポルフィリンと臭化アンチモンの反応では5価のジメトキシ錯体が生成した。X線結晶解析の結果中心のアンチモンの電荷は中性であることが確認できた。また、吸収波長及び電気化学的測定からこの分子が低いエネルギーギャップを持つことも確認できた。更に、この分子は軸配意子の変換が容易であることから、これを利用した長鎖ワイヤーの合成も用意である。
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