研究概要 |
1 反応性の高い2,2'-ジピリジンスルフィドの3位をメチル修飾することによってイオウが最終的にスルホン酸にまで酸化されることを明らかにした。この反応は一般に強い酸化的環境を必要とすると思われるが、本研究ではCuイオン存在下で空気中の酸素と室温で反応し、生体中でのイオウ代謝とも対比できるものと分かった。得られたピリジンスルフォン酸類は単にキレートとしてのみではなく水素結合、架橋配位としても有効な分子集合体構築素子として働くことを明らかにした。この配位子は極めて単純な形を持ち,しかも多様な相互作用が期待されるにも関わらずこれらの現象を本研究で初めて明かとした。 2 3-及び6-メチルピリジンチオールの銅イオン存在下で縮合によって一気に潜在的光学活性体である、3-メチルピリジン-2-(6-メチルピリジニウム-2-チオン)を合成した。この化合物は新規軸性の不斉を持つ配位子として働くことが期待される。このタイプの配位子は架橋ポリマーを形成することが期待されるのみならず得られたd10錯体系では蛍光の観測されることが分かった。 3 反応性の高い2,2'-ジピリジンスルフィドの基本単位であるピリジンチオールの配位した白金錯体を用いて、当初の目的通り白金とクロム,バナジウムを共に含むピリジンチオラト二核錯体を合成し,その構造,酸化還元挙動を調ベ、白金、異核金属間相互作用を明らかにした。
|