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2000 年度 実績報告書

チオケトンの自己修復型光増感電子移動過程の研究

研究課題

研究課題/領域番号 11440211
研究機関東北大学

研究代表者

伊藤 攻  東北大学, 反応化学研究所, 教授 (30006332)

研究分担者 藤塚 守  東北大学, 反応化学研究所, 助手 (40282040)
小野寺 信治  東北大学, 反応化学研究所, 助教授 (30006316)
キーワード自己修復型光増感電子移動過程 / チオケトン / メチルビオロゲン / 硫黄ラジカル / pH依存性 / レーザーホトリシス
研究概要

含窒素チオケトンを電子受容体存在下で定常光照射すると、自己修復型光増感電子移動サイクルにより電子受容体の還元体を蓄積する。これは犠牲試薬を必要としない新しい反応サイクルであり、光エネルギーの利用においてさまざまな応用の考えられるサイクルである。研究最終年度にあたる本年度では高速分光法や定常光照射実験を種々の条件下で行うことによって、メカニズム解析および反応条件の最適化を行うことを目的とした。
自己修復型光増感電子移動サイクルのpH依存性を検討したところ、チオン三重項からメチルビオロゲンへの電子移動過程はほとんど影響されないが、長寿命メチルビオロゲンラジカルカチオンの生成効率は強酸性条件で抑えられることが確認された。これは強酸性条件下ではメチルビオロゲンラジカルカチオンとチオンカチオンの逆電子移動過程が進行するためと考えられる。一方、中性およびアルカリ性では、脱プロトン化によりチイルラジカルが生成し、さらにはジスルフィドが生成するため逆電子移動過程が抑制されラジカル種の長寿命化が起こることが推測された。実際、ジスルフィドの生成は反応物解析により確認された。
さらに、水素供与性の溶媒である種々のアルコール中での定常光照射実験では生成したメチルビオロゲンラジカルカチオンが完全には減衰しないことを見出した。これは電子移動の結果生じるチイルラジカルが水素化され、一部もとのチオンに戻るためと結論付けられ、上記のメカニズムを支持する結果が得られた。これらは反応最適化の指針を与えるものである。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] M.A.El-Kemary: "Photophysical characteristics of two 4,6-disubstituted-3-cyanopyridin-2(1H)-thiones in various solvents"Journal of Photochemistry and Photobioloby A : Chemistry. 137・2. 105-113 (2000)

  • [文献書誌] S.D.-M.Islam: "Photoreduction of methylviologen using methylacridine orange in the presence of triethanolamine in ethanol-water mixtures."Journal of Photochemistry and Photobioloby A : Chemistry. 134・3. 155-161 (2000)

  • [文献書誌] S.D.-M.Islam: "Photosensitized reduction of methyl viologen using eosin-Y in presence of a sacrificial electron donor in water-alcohol mixture."Photochemistry and Photobiology. 71・6. 675-680 (2000)

  • [文献書誌] Toshifumi Konishi: "The C_<60>-photosensitized reduction of methyl viologen through the intermediary of O_2"Bulletin of the Chemical Society of Japan. 74・1. 39-45 (2001)

  • [文献書誌] M.M.Alam: "Recent Research Developments in Physical Chemistry"Transworld Research Network. 13 (2001)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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