研究課題/領域番号 |
11440212
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
藤森 憲 筑波大学, 化学系, 助教授 (90015983)
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研究分担者 |
村田 重夫 通産省, 工業技術院・物質工学工業技術研究所, 主任研究官
松本 正勝 神奈川大学, 理学部, 教授 (10260986)
守橋 健二 筑波大学, 化学系, 助教授 (90182261)
岩井 伸一郎 通産省, 工業技術院・物質工学工業技術研究所, 研究官
加藤 隆二 通産省, 工業技術院・物質工学工業技術研究所, 主任研究官
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キーワード | メタ効果 / フォトソルボリシス / 光加溶媒分解反応 / 光分解反応 / ラジカル反応 / 光化学反応 / 励起一重項 / 励起三重項 |
研究概要 |
*H.E.Zimmmermanが光化学における「メタ効果」を提唱するに至った、m―methoxybenzyl acetate(Im)とp―methoxybenzyl acetate(Ip)の光分解をメタノール中で行った。本研究準備中に行った結果とあわせて本光化学反応の特徴を要約すると、次のようになる。結果をJ.Am.Chem.Soc.に投稿し、受理された。 (1)Im光分解は励起一重項から起こり、m―benzyl―acetate ion pairとsinglet m―benzyl―acetoxylradical pairを生じる。C―O結合開裂量子収率は、ほぼ1であるが、溶媒籠内におけるinternal returnが72%も起こってImを再生する為、見かけの光分解量子収率は0.33に過ぎない。分子状酸素による阻害はほとんどない。 (2)Ip光分解は励起三重項から起こり、triplet m―benzyl―acetoxylradical pairを生じる。励起三重項IpのC―O結合開裂量子収率は、1である。従って、Ip光分解はイオン分解を起こさず、フリーラジカル由来の生成物のみを与える。分子状酸素により非常に阻害される。蛍光発光の為、見かけの光分解量子収率は0.8である。 (3)以上の結果は、Imの励起一重項のC―O結合開裂が非常に早いために、高効率でC―O結合開裂する。一方、Ip励起一重項のC―O結合開裂は他の過程(項間交差、内部変換、蛍光発光)に比べて遅いため、項間交差の方が競争に勝ち、励起三重項からC―O結合開裂を起こす。 *ナノ秒レーザーフラッシュフォトリシス装置とストップドフロー高速反応装置を組み合わせることにより、3―(m―oxopheny1)―3―methoxy―4,4―adamantylidene―1,2―dioxetane(IIm)の光電子移動誘起化学発光(Photoinduced Electron Transfer Initiated Chemiluminescence:PETIC)が起こることを世界で初めて確認した。 IImは秒単位で熱反応を起こして化学発光するので、前駆体のシリルエーテルとフッ化物イオンをストップドフロー高速反応装置で混ぜて、シリル保護基を除いた後にレーザーフラッシュフォトリシスする必要があった。
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