研究概要 |
(1)光化学における「メタ効果」の本質を検討するため、m-methoxybenzyl acetate(Im)とp-methoxybenzyl acetate(Ip)のメタノール中光分解を実験、理論両面から研究した。 Imの励起一重項のC-O結合開裂が非常に早いために、高効率で励起一重項からC-O結合開裂するが、Ip励起一重項のC-O結合開裂は他の過程に比べて遅いため、一部の蛍光発光過程を除いて励起三重項に移行し、それからC-O結合開裂を起こすと結論した。それについて、米国およびカナダの研究者からクレームがつけられたが、私達の結論が正しい事を裏付ける実験的証拠を示した。過去の研究者達と異なる反応機構を理論の面からも検討した。 (2)我々が創始した光電子移動誘起化学発光(Photoinduced Electron Transfer Initiated Chemilu minescence:PETIC)法を用いて、3-(m-methoxyphenyl)-3-methoxy-4,4-adamantylidene-1,2-dioxetane(IIm)および3-(p-methoxyphenyl)-3-methoxy-4,4-adamantylidene-1,2-dioxetane(IIp)の化学発光を研究した。IIm,IIpいずれも、280nm光照射により量子収率1で分解し、各々定量的にmethyl m-methoxybenzoate(IIIm)とアダマンタノン,methyl p-methoxybenzoate(IIIp)とアダマンタノンを生成した。PETIC量子収率、各発光体の蛍光量子収率からIImのPETICにおける励起一重項IIIm及びアダマンタノンの量子収率は、夫々0.2および0.3であった。同様に、IIpのPETICにおける励起一重項アダマンタノン量子収率は0.17と求められた。
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