研究課題/領域番号 |
11440221
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
沓掛 和弘 岡山大学, 理学部, 教授 (90143362)
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研究分担者 |
島本 整 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (90187443)
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キーワード | 殺菌鞭毛 / 転写制御 / 鞭毛フック / 転写後調節 / シグマ因子 / 蛋白質輸送 / 病原性因子 / アンチ・シグマ因子 |
研究概要 |
1.タイプIII輸送系遺伝子との相互作用:鞭毛特異的蛋白質輸送系は病原性因子輸送系であるタイプIII輸送装置と相同性が高い。アンチ・シグマ因子輸送スイッチ装置の解析のためにはタイプIII輸送系との比較が有効と考え、両者の相互作用を解析した。その結果、鞭毛レギュロンの転写制御因子の1つであるFliZが病原性遺伝子群SPI1の正の制御因子としても機能していることが明らかになった。この制御系では、FlizはSPI1の転写制御遺伝子であるhilCやhilAの発現制御を介して機能している。 2.基体-フック・オペロンの発現制御:フック蛋白質をコードするflgE遺伝子は、flgBオペロンに属する。このオペロンは9個の遺伝子よりなる大きなオペロンであるが、各遺伝子産物の必要量は遺伝子ごとに異なり、10倍近い差がある。したがって、このオペロンには転写後制御が存在することが予想され、それがフック長制御と共役している可能性が考えられる。そこで、flgBオペロンのmRNAの解析を行ったところ、オペロンの全体長に相当する長いRNA分子は検出されず、200塩基程度の短いRNAとして検出されることが判明した。このRNAの長さはちょうど基体・フック構造の長さと一致するので、これがフック長制御に関わっている可能性が高いと考えられる。 3.fliC遺伝子の転写後制御:輸送スイッチと翻訳制御の関係を解析する目的で、アンチ・シグマ因子と同一の輸送階層性にあるフラジェリンについて、その遺伝子fliCの転写後制御をフック完成前後で比較検討した。その結果、fliC発現はフック完成時点で低下することが判明した。この意外な結果は、フック完成にともなって初めてfliCの翻訳制御機構が機能するようになることを示唆している。
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