フタモンアシナガバチのDNAのくり返し配列をシークエンスし、プライマーを設計した。13遺伝子座について複数の対立遺伝子が確認され、これを使いコロニー内のワーカー産卵の比率を分析した。ワーカー産卵は、コロニーが成長し、ワーカー数が増加するにともなって増加する傾向が複数のコロニーで確認された。また、産卵直後に27個の卵をマークして、その後一齢幼虫時にそのDNAを分析した。これら27個の卵のうち13個体は産卵した個体の遺伝子型と矛盾する遺伝子型を持った個体であり、産卵から一齢幼虫に成長する過程で卵がすり替えられていることが明らかとなった。以上のことから、女王はコロニーが小さい頃は、ワーカーによって産卵された卵を除去し、自身の卵で置き換えているが、コロニーサイズが大きくなるにつれてこのチェック機能が低下することにより、ワーカーの卵が生き残るものと考えられた。
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