研究概要 |
メチオニン生合成の鍵となる段階を触媒する酵素であるシスタチオニンγ-シンターゼ(CGS)は,mRNAの安定性の段階で負のフィードバック制御を受けており,この制御にはCGS自身の第1エキソンポリペプチドが関与している.野生型のシロイヌナズナではメチオニンを与えて栽培することによりCGSmRNAの蓄積を抑える機構が働くが,遊離メチオニンを過剰に蓄積するmto1変異株ではこの制御が欠損している.アクチノマイシンにより新たな転写を止め,CGSmRNAの安定性の解析を行った結果,野生型のCGSmRNAはメチオニン添加により急速に分解されるが,mto1変異を持つCGSmRNAはメチオニン添加に関係なく安定であることが示された.一過的発現系を用いた解析によりこの制御にはCGSの第1エキソンポリペプチドが関与していると考えられた.mto1変異が見られた全てのアミノ酸のコドンについて同義コドンに置き換えたサイレントな変異を作製し,一過的発現系を用いた解析をおこなった.その結果,サイレント変異はいずれも野生型の性質を示し,アミン酸配列が重要な機能を持つことが確認された.CGSの第1エキソンは183アミノ酸からなるが,3'側と5'側から第1エキソンのコード領域を順次欠失させて,一過的発現系を用いた機能解析を行った.その結果,第1エキソンの中央部がメチニオン添加に応答して遺伝子発現を制御する機能を持つと考えられた.また,酵母のtwo-hybirdシステムを用いたスクリーニングを行い,CGSの第1エキソンポリペプチドと相互作用を持つと期待される候補株を4つ得た.
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