研究概要 |
昨年度に引き続き、シロイヌナズナのアクティベーション・タッギング系統の作成をおこない、昨年度分と併せて12,000個の独立な系統を樹立した。この内、9,000系統についてオーキシン反応を調べ、既報のオーキシン耐性劣性突然変異体数種類とともに、新規のオーキシン耐性突然変異体と思われる系統6076を得た。同系統も劣性で、根がオーキシン耐性を示し、根の屈地性が部分的に異常である。同時に、光依存的な地上部の成長促進機構も異常で、数日間暗所で培養すると地上部は成長することができなくなる。現在、同系統が新規突然変異体であるかどうか調べるため、戻し交雑と既報のオーキシン変異体との相補性試験をおこなっている。オーキシン反応以外にも、胚軸の偏差成長や光依存的伸長成長反応について調べた結果、前者が異常な優性突然変異体4094と後者が異常な優性突然変異体dfl1を得た。これら変異体の原因遺伝子のクローニングをおこなった結果、4094は今まで機能が不明であったNAKサブファミリーに属するタンパク質キナーゼ遺伝子であること、DFL1はオーキシン誘導性遺伝子族で機能がわからなかったGH3遺伝子族に属する遺伝子であることがわかった。以上、機能が不明であった二つの遺伝子に関して、異常な表現型を示す突然変異体が得られたことは、遺伝子の機能を明らかにする方法としてアクティベーション・タッギング法が有効であることを示している。
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