研究概要 |
シロイヌナズナのアクティベーション・タッギング系統を約12,000系統作出し、100系統ごとのDNAプールを作成した。 これらの系統から得られた偏差成長異常突然変異体、系統4094の分子遺伝学的研究をおこなった。本系統では、シロイヌナズナのゲノム中に多数存在する受容体様タンパク質キナーゼの中のRLCKVIIサブファミリーに属する遺伝子CDG1が過剰発現していたが、同遺伝子を人工的に過剰発現させると同様な表現型が観察されることから、同遺伝子が偏差成長異常の原因遺伝子であることが証明できた。野生型をブラシノステロイドで処理すると、胚軸の伸長や子葉の偏差成長が促進され、cdg1突然変異体と類似した表現型を示すようになることから、CDG1キナーゼはブラシノステロイドの信号伝達系と干渉して異常な表現型を示すことが示唆された。CDG1キナーゼ遺伝子には、キナーゼをコードするORFの上流に短いORFが二つ存在することを明らかにした。このような短い上流のORFは、翻訳を抑制することが知られている。CDG1遺伝子のmRNAレベルが野生型では非常に低いことと併せて、同遺伝子の遺伝子発現は厳密に抑制的に調節されていることがわかり、このことは同遺伝子が生理学的に重要であることを示唆していると考えられる。 オーキシン耐性である系統6076についても研究し、同変異体のオーキシン耐性はAUX1遺伝子の破壊によることを明らかにした。
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