研究概要 |
本研究では、アクティベーション・タッギング用ベクターを用いて、最終的に12,000超の独立な形質転換ラインを作成し、そのライブラリを用いて、100ライン毎をまとめて1プールとしたtagged DNA poolも作成した。このライブラリは、既に一部をかずさDNA研究所に寄託して、多くの研究者の使用に供されている。このライブラリから、優性の構成的偏差成長突然変異体cdg1-Dを単離し、その原因遺伝子がSer/Thrタンパク質キナーゼをコードしていることを、形質転換体を作成して証明した。このキナーゼが過剰発現すると、多くの器官で協調的な細胞伸長ができなくなり、構成的に偏差成長が起こる。また、光による細胞伸長の抑制にも異常が生ずることから、細胞伸長の調節一般にも影響が生じていると考えられる。このキナーゼは、シロイヌナズナのゲノムに50個近く存在するRLCKVIIサブファミリーに属するもので、その発現は調べたすべての器官で強く抑制されていた。同じくこのライブラリから、短日条件下で花成遅延表現型を抑制する半優性の突然変異体s1s1を単離し、原因遺伝子がRNA結合タンパク質をコードしていることを明らかにした。以上の結果は、CDG1やSLS1のように、多数の類似遺伝子を持つ調節因子や、多重に重複して調節されている経路の因子の機能を明らかにするには、アクティベーションタッギング法が有効であることを示している。
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