研究概要 |
プラスチドDNAの機能的単位であるプラスチド核様体は,原核タイプのDNAと真核タイプのDNA結合タンパク質からなるハイブリッドとみなすことができる。この観点から,プラスチド核様体構成成分の構造を明らかにし,また,それらの成分がプラスチドDNAの複製・転写に果たす役割を解明することにより,新しいプラスチド像を作り上げることを目的として研究を行い,以下の結果を得た。 1.核様体構成タンパク質をコードする新たなcDNAの単離 エンドウを材料として,核様体のタンパク質に対するポリクローナル抗体を調製し,これを用いて発現ライブラリのウェスタンスクリーニングを行った。得たれたPN4,PN15の構造を決めた。PN4は細胞質のホモログであることが判明した。2.核様体構成タンパク質の高解像度ゲル電気泳動による分離 通常より長いガラス板を用いて分解能を高めた電気泳動装置を開発し,核様体タンパク質の完全な分離と各成分のアミノ末端配列の決定を行ったが,現在まで,新規のタンパク質は得られていない。3.既知の酵素成分の同定 T7タイプのRNAポリメラーゼの遺伝子を,ヒメツリガネゴケから単離し,その3'側半分の構造を決めた。近いうちに全構造の解析と細胞内局在を明らかにする予定である。4.In vitro転写系を用いた核様体構成成分の機能解析と核様体の比較生化学的分析に関しては継続して研究する。
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