研究課題/領域番号 |
11440234
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
近藤 孝男 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10124223)
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研究分担者 |
石浦 正寛 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 教授 (20132730)
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キーワード | シアノバクテリア / 概日時計 / kai時計遺伝子 / ネガティブフィードバック / 蛋白質相互作用 / ATP / GTP結合能 / 時計蛋白のリン酸化 / センサーキナーゼ |
研究概要 |
昨年までの解析でシアノバクテリアの概日時計がkai遺伝子の発現の制御に起因していることを明らかにした。今年度はこの振動が「時計」として機能するための分子的機構を探るため、kai遺伝子の発現、KaiC蛋白質の生化学的機能、および光による位相変位の解析を進め、以下の点を解明した。 1)KaiC蛋白質の振動とリン酸化 3つのKai蛋白質がいずれもmRNAのリズムに比べ8時間ほど遅れた位相で振動することを確認した。また、この時、KaiC蛋白質は2つのバンドになるが、フォスファターゼの処理により高分子量のバンドが消失するのでKaiC蛋白質は細胞内でリン酸化されていることが示された。このリン酸化のレベルも概日振動を示し、概日振動の過程でKaiC蛋白質のリン酸化が重要であることが示唆された。さらに、いくつかの突然変異体ではこのリン酸化レベルの異常が確認された。 2)KaiAによるKaiCリン酸化の促進。 KaiAの共存によりKaiCのリン酸化が著しく促進されることを見いだした。この効果はシアノバクテリアの細胞内でも、in vitroでも確認された。これはKaiCによる振動活性化を示唆するものであり、今後のKai蛋白質による周期の決定機構の解析の糸口になると期待できる。 3)シアノバクテリアの概日時計の位相変位に関するフィトクローム相同遺伝子cikA。光による時計のリセット機能がフィトクローム相同遺伝子cikAの破壊により大きく阻害されること見いだした。 以上の成果はシアノバクテリアの概日時計の理解のために重要な知見を与えるものである。
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